公開シンポジウム家畜化と乳利用その地域的特質をふまえて

2015. 02. 17.

2015年5月16日(土)・17日(日) 京都大学・稲盛財団記念館 大会議室

このシンポジウムは、搾乳開始について仮説を提起しいる谷仮説を基調にし、議論を進めるものです。
搾乳開始の谷仮説とは、「人が野生動物を群れとして家畜化し、人間管理下での新しいニッチで飼養するようになると、母仔間の哺乳が成立しない状況が発生する。牧夫は仔畜を助けるため、母畜からミルクを搾り、仔畜にミルクを与えるようになる。いつしか、人間が残ったミルクを利用するようになる」とするものです。この理論は、「群れ」「母仔間の強い認識」「母仔間危機」「母仔間介入」という重要な概念のうえに成り立っています。
このシンポジウムでは、ユーラシア大陸における乳文化圏での事例、新大陸のリャマ・アルパカ牧畜、極北・トナカイ牧畜などの非乳文化圏の具体的な事例から、谷泰氏の搾乳開始仮説を具体的に検証すると共に、考古学の視点から家畜化と乳利用について学際的に考察していきます。そして、搾乳開始や牧畜についての新たなる視点を発見することを目指しています。

5月16日(土)9:00~17:30
5月17日(日)9:00~16:00

文化人類学からの視点〈谷泰仮説をめぐって〉
基調講演 谷 泰(京都大学名誉教授) 搾乳はいかにして開始されたか?西アジアにおける家畜化の意味と管理技法の展開から
平田 昌弘(帯広畜産大学)「ユーラシア大陸乾燥地における牧畜と搾乳」(乳の重要性)
鳥塚 あゆち(法政大学)「南米アンデス地域におけるラクダ科動物の群管理と乳利用不要に関する考察」(乳利用の不在)
佃 麻美(京都大学)「アンデス牧畜におけるアルパカの母子間関係と介助技法」(乳利用の不在)
高倉 浩樹(東北大学)「肉利用家畜化の成立条件と牧畜適応の発展:シベリアの事例から」(乳利用の不在)
辻 貴志(国立民族学博物館)「フィリピン沿岸域の生業と生物資源利用における家畜と乳利用の実態」(乳利用の不在)
考古学からの視点〈牧畜化と乳利用をめぐって〉
藤井 純夫(金沢大学)「定牧・移牧・遊牧:ヨルダンの遺跡調査から」
三宅 裕(筑波大学)「西アジアにおける乳利用の開始とその意義」
本郷 一美(総合研究大学院大学)「動物考古学からみた家畜化と乳利用開始」
鵜澤 和宏(東亜大学)「動物考古学から探るアンデス的牧畜の起源」
池谷 和信(国立民族学博物館)コメントと質疑応答
全体討論
「谷泰仮説(搾乳開始論)の検討」
「牧畜と搾乳についての新しい視座の発見」
「新しい牧畜モデルの構築」
̶搾乳の開始をめぐる谷仮説を手がかりにして

お問い合わせ/シンポジウム事務局 平田昌弘 E-mail: masa@obihiro.ac.jp
事前にE-mailにて出席をお申し込み下さい

家畜化と乳利用プログラムpdfファイル

家畜化と乳利用ポスターpdfファイル